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今夜の番組チェック
第1回
「現代社会の吟遊詩人」
KOWAの住む渋谷の街には様々な人々が自分を表現するために路上で何かを行っている。
それは歌であったり、詩であったり、絵であったり、創作物の販売であったり多種多様だ。
場所こそちがえど、ここを訪れた方々にもそんな情景を目にした事がある人がいるであろう。
さて、そんな中KOWAは一人のミュージシャンと知り合う機会を得た。
オーストラリアから来たダレンという男性だ。
出会いはなんて事はない。彼の奏でるハンマーダルシマーという不思議な楽器にKOWAが魅せられ、足を止めた事が始まりである。
週末にだけ現れる彼はストリートミュージシャンの多く集まる駅前などのスポットには顔を出さず、常にここでたった一人演奏をしていた。
おそらくその奇妙な彼のステージ位置が、KOWAの家路につく道と重なっていた事も幸いしたのだろう。彼の演奏を何度も聞いている内に自然と彼と話し込む自分がいた。
彼との会話を語る前に、ハンマーダルシマーという楽器について説明しておこう。
ハンマーダルシマーは古くはペルシャを発祥とし、アイルランドやイギリスに伝えられ世界に広まっていった楽器である。
ピアノの原点とも言われているこの楽器は多種多様な種類を持ち、国によってハックブレット、ツィンバロン、揚琴(ヤンチン)などと名前や姿を変えて存在している。
音色もそれぞれ異なるのだが、共通している事は台形の箱に弦を張り、それを二本のばちで叩く事で音を奏でるスタイルである。
透明感のある不思議な音色が非常に心地よく、最近では女子十二楽坊がヤンチンを演奏しているのを見た人も多いだろう。
ダレンは自分のダルシマーのスタイルをオリジナリティ溢れる物に変化させている。
ダルシマーのばちは通常柄の長いスプーンのような形状をしているのだが、彼のばちは15cm程度と短く、小刻みに叩く事で独特の重なりのある音を表現している。
また、弦もアコースティックギターの弦を使用し、より一層透明感と響きの奥深さを高めている。
「アコースティックギターの弦を使うのは僕のオリジナルなんだ」
流暢な日本語で彼は語る。
彼の日本語は日常会話に支障をきたすような事はほとんど無く、時折わからない単語があっても言い回しを変えれば通じる場合がほとんどだ。
渋谷という地で演奏を続けてきたからだろうか、時折「ハハ、それはキモいね」とか、突然飛び出す若者言葉がほほえましい。
ダレンは何年も前から世界をこのハンマーダルシマー一つ抱えて旅をしていたのだという。
まずは彼の曲を聴いて欲しい。そしてそれを聴きながら以下の文章を読んでいただけるとありがたい。
connaught アルバム「いい vibrations」より moods(mp3形式 4:11秒)
今日はそんな彼の音楽に対する言葉をいくつか紹介したいと思う。
出身はオーストラリア。ハンマーダルシマーの演奏でまわった国は、タイ、シンガポール、ペルシャ、チベットなどゆかりの深い国々をはじめとして世界各国まわったのだという。
それでもやはり最もウケがいいというか、同調してくれる人々が多いのがここ日本なのだそうだ。
色々な国々をまわって彼がここに腰を落ち着けていることを非常にKOWAはありがたく思う。
とはいえ彼は寒くなってくると南半球にもどるというスナフキンさながらの生活を送っているため、暖かくなってきた頃また彼に会えるのがKOWAの毎年の楽しみだ。
「色んな国をまわって、こういったストリートミュージシャン達にお金をあげるって言う習慣が最も薄いのは日本だった。けど僕はここの人達が僕の音楽を聴いてこうして話をしてくれるのが楽しみなんだ」と彼は語る。
ならどうしてもっと人の沢山いる駅前でやらないんだい?というKOWAの質問に対しての答えもクールだ。
「ここは東急文化村が近いでしょう。あそこでは演劇や、クラシックのコンサートや、芸術的な催し物が毎日やっているんだ。そんなイベントの帰り道になるここで演奏をすることで、逆に僕の曲に足を止めてくれる人は増えているんだよ。芸術に興味のある人が僕の演奏に足を止めてくれるんだ。これは素晴らしいし、とても嬉しい事なんだよ」
正直この言葉にいたく感動してしまった。彼は自分の演奏を芸術として誇っている自信を持っているし、それに対する挑戦の心も未だに持っている。
「ここで一度、レイヴパーティーに誘われたことがあってね、演奏で参加したんだけど、僕の演奏はやっぱり僕だけでやりたいなって思っちゃった。」
そう言って笑う彼は週に三日間だけの路上ライブを大切にしている。
日本にいる間はいつも新宿のアパートを借りるのだという。来年もまた来てくれるだろうか。
今回こういうインターネットという媒体で貴方のことを紹介してもいいですかと持ちかけた時、喜んで彼は承諾してくれた。(あまつさえ、彼は自分の曲を一曲紹介していいと許可まで出してくれた)
挑戦しよう。
急いでのんびり。肩の力を抜いて全力疾走で挑戦しよう。
そんなダレンの心意気をうけとめて、彼の言葉で第一回のこのコーナーの幕を下ろそう。
「一日10000円稼げたらもう凄い嬉しいんだけど、やっぱり駄目な時は2000円切っちゃうときもある。だけどね、頑張ろう頑張ろう思うともっと駄目。もう今日は2000円でいいやっておもうとね。10000円超えたりするんだよ、不思議だね。何でかは僕もわからないんだ。でもずっとずっとそうなんだよ。焦っちゃいけないんだね。大事なのは楽しんで弾く事なんだ、今日はとっても楽しかった。だからほら、結構な稼ぎだろう?」
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